はじめに
インターネットの世界では時として予想外の組み合わせが生まれ人々の心を捉えて離さないことがあります。「アジアの三大笑顔」、中国では「表情三巨頭」として知られるこのミームはまさにそんな現象の一つです。中国、日本、韓国という東アジアの3カ国からそれぞれ異なる分野で活躍する人物の特徴的な表情が選ばれ一つのミームとして結びついた興味深い事例です。このミームは文化や言語の壁を超えて人間の表情が持つ複雑さと普遍的な魅力を示すものとして広く知られるようになりました。
ミームの構成要素
「アジアの三大笑顔」または「表情三巨頭」ミームは以下の3人の表情の画像から構成されています:
- 姚明(ヤオ・ミン):中国出身の元プロバスケットボール選手
- 花澤香菜:日本の声優
- チェ・ソングク(通称:キム館長):韓国の俳優
これら3つの表情が並べられることで、このユニークなミームが完成します。
ミームの起源と発展
姚明の表情:ミームの基礎
このミームの起源は姚明(ヤオ・ミン)の表情の画像にさかのぼります。
2009年、NBAのヒューストン・ロケッツに所属していた姚明が試合後に行われた記者会見の一部から切り取られたものです。記者会見でのある瞬間、ヤオ・ミンが冗談を交えた会話をして笑っている姿が捉えられ、その表情が独特な「笑顔」として注目を集めました。
ヤオ・ミンが実際に笑っていた状況はアメリカ人バスケットボール選手であるロン・アーテスト(現メッタ・ワールド・ピース)が試合中に起きた出来事についてコミカルな発言をしたときのものです。このときヤオ・ミンはアーテストの発言に対して笑っており、その瞬間が画像として切り出されました。
自身の右側を見て特徴的な表情を浮かべているこの画像は複雑な感情を表現しているように見えます。
その後、ネット上でこの笑顔の画像がシンプルな漫画風のイラストに変換され、「バカにする」「ありえない」といった感情を表現するために使われるようになりました。特に英語圏では「Bitch please」(冗談だろう?という意味合い)のテキストと共に使われることが多いです。このフレーズは相手の主張が無意味であることを笑い飛ばす意図で使用されます。
このミームは大人気となり多くのバリエーションや他のシーンでも使われるようになりました。イラスト版のヤオ・ミンの顔は典型的な「顔文字」や「反応画像」としてさまざまなソーシャルメディアやフォーラムで使用されておりインターネット文化に深く根付いた存在となっています。
花澤香菜の「兵庫北(ピンクーペイ)」
日本の人気声優である花澤香菜の表情がこのミームに加わったのは比較的最近のことです。彼女の特徴的な表情は日本のテレビ番組「めざましテレビ」の1コーナー「ミドリのマドグチ」に出演した際のワンシーンから取られたものです。
特筆すべきはこの表情が中国で「兵庫北(ピンクーペイ)」という名前で大流行したことです。この名前の由来は画像に写り込んでいた天気予報のテロップに「兵庫北(ひょうごきた)」という文字があったことから来ています。中国のインターネットユーザーたちはこの奇妙で魅力的な表情に魅了され独自の解釈と愛着を持って広めていきました。
花澤の「兵庫北」はその純粋さと同時に少し戸惑ったような雰囲気を含んでおり多くの視聴者の心を捉えました。姚明の表情と並べられることで両者の表情の類似性と対照性が際立ち興味深い視覚的効果を生み出しています。
チェ・ソングク(キム館長)の参入
韓国の俳優チェ・ソングク(通称:キム館長)の表情がこのミームに加わったことで「アジアの三大笑顔」が完成しました。チェ・ソングクの表情も、姚明や花澤と同様に目を細め口を開けた特徴的なものですが、そこには独特の温かさと親しみやすさが感じられます。
「表情三巨頭」としての認知
これら3つの表情の組み合わせは特に中国で大きな反響を呼び「表情三巨頭」として広く認知されるようになりました。この現象はインターネット上での人気にとどまらず中国の新聞にも取り上げられるほどの社会現象となりました。
「表情三巨頭」という呼称はこの3つの表情が持つ独特の魅力と影響力を端的に表現しています。それぞれが異なる国の異なる分野で活躍する人物でありながらその表情の力によって一つの文化現象として結びついたことは非常に興味深い事例と言えるでしょう。
ミームの意味と影響
表情の多様性と普遍性
「アジアの三大笑顔」または「表情三巨頭」ミームは表情の持つ複雑さと多様性を示しています。姚明の自嘲と、或いは嘲笑、爆笑の混ざった表情、花澤香菜の「兵庫北」として知られる純粋さと戸惑いの入り混じった表情、チェ・ソングクの味のある笑顔の表情。これらは人間の感情の豊かさと、その表現方法の多様性を反映しています。
同時にこのミームは表情の普遍性も示しています。文化や言語が異なっていてもこれらの表情が多くの人々の共感を得ていることは人間の感情表現に共通点があることを示唆しています。
如果把中日韩三国明星放一起。。
インターネット時代の文化現象
「表情三巨頭」ミームは現代のインターネット文化が如何に国境を越えて影響を与え合っているかを示す顕著な例です。一つの国で生まれた表情のミームが他の国の要素を取り込みながら進化し、さらに別の国でユニークな解釈を加えられて広まっていく過程はまさにグローバル化したインターネット社会の縮図と言えるでしょう。
ミームの使われ方
結論
「アジアの三大笑顔」または「表情三巨頭」ミームは、表面的には3枚の特徴的な表情の画像の組み合わせに過ぎません。しかし、その背後には感情表現の複雑さ、文化の交流、インターネット時代のグローバルなつながりといった深い意味を推し量る事が出来ます。
特に、花澤香菜の「兵庫北」表情が中国で独自の解釈と人気を獲得したことはこのミームの持つ文化横断的な魅力を如実に示しています。一つの表情が、異なる文化圏で新たな意味と愛着を持って受け入れられるという現象はグローバル化時代のコミュニケーションの新しい形を示唆しているのかもしれません。
このミームは私たちに表情の持つ力と多様性を再認識させるとともに文化や言語の違いを超えて人々がつながることができるという可能性を示してくれます。今後もこのような文化現象を通じて私たちは人間の感情表現の豊かさと、それを共有することの喜びを探求し続けることができるでしょう。
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